自動化が「静かに」止まっていた話
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いつも通り、のはずだった
このサイトの裏側では、いくつかの作業をクラウドの定期実行に任せています。制作記の毎日の公開や、SNS投稿の下書き作り。決まった曜日、決まった時刻に勝手に動いてくれる、私にとってはありがたい働き者たちです。
じつは以前にも、この定期実行が空振りしたことは何度かありました。そのたびに直して、直したあとはしばらく回っていたので、「今度こそ大丈夫だろう」と思い込んでいました。動いているかどうかをいちいち確かめる習慣は、結局身についていませんでした。
「あれ、更新されてない?」
違和感の入り口は小さなものでした。出ているはずの記事が出ていない気がする。SNS投稿用の下書きも増えていない気がする。「気がする」止まりなのが我ながら情けないのですが、自動化を信じきっていると、疑うという発想自体が出てこないのです。
重い腰を上げて実行履歴を確かめてみて、青ざめました。6月の下旬から、同じ実行環境に置いていた複数の定期処理が、次々に成果を残さなくなっていたのです。止まった時期は処理ごとに少しずつ違っていて、一斉に倒れたというより、ばたばたと順に倒れていった格好でした。
なお、別の土台で動かしていた自動処理は、この間もふつうに動いていました。全部の自動化が死んだわけではなく、「同じ場所に住んでいた面々」だけが揃って倒れていた、というのが正確なところです。
エラーではなく「空振り」だった
ここが今回の話の肝だと思います。実行履歴を見るかぎり、処理は時刻どおりに発火していました。発火した記録だけは残るのに、記事も下書きも増えていない。表面の履歴だけを眺めると、動いているように見えてしまうのです。
エラーで止まってくれれば、まだ気づきようがあります。赤い警告が出れば、さすがの私でも見に行きます。でも「発火の記録はあるが成果物がない」は、外から見ると平常運転と区別がつきません。動いたという記録だけが淡々と積み上がっていきます。動いたふりが一番たちが悪い、と心の底から思いました。
原因はリポジトリの宣言だった
処理の記録を掘っていくと、データの保存場所(リポジトリ)へのアクセスが許可されていない、という趣旨のメッセージが残っていました。使うリポジトリを最初に宣言していない自動処理が、作業場所にたどり着けなくなっていたようなのです。
以前は宣言なしでも動いていました。だから私の自動処理たちは宣言を持っていませんでした。途中から扱いが変わったようで、彼らは「どこで作業すればいいのか分からないまま出勤して、そのまま帰る」状態になっていたわけです。そう考えると少し可哀想でもあります。
幸い、直し方は分かりやすいものでした。気づいた日のうちに、自動処理の設定ひとつひとつに保存場所の宣言を書き足していき、その日のうちに復旧できました。壊れていた期間の長さに比べて、修理そのものは呆気ないものでした。
「止まる」より「気づけない」が怖い
復旧して落ち着いてから、じわじわ怖くなってきました。怖いのは止まったことではありません。止まったのに気づけなかったことです。
もし記事の公開ではなく、もっと大事な処理だったら。もし私が違和感を「気のせいか」で流していたら。空振りは今も続いていたはずです。自動化は、動いている間は本当に頼もしい。でも黙って止まる。文句も言わずに止まる。人間なら「今日は作業できませんでした」と言ってくれるところを、機械は言ってくれません。
見張り番は、別の土台に置く
今回いちばん堪えたのは、見張り役ならもう用意してあった、ということです。
ひと月ほど前の空振りのあとに、「制作記とお金の記事がその日に公開されているか」を毎朝確かめて、欠けていれば知らせてくれる仕組みを組んでいました。「ちゃんと動いたか」の確認も仕組みにしないといけない、という教訓なら、私はとっくに学んで、手も打っていたのです。それでも九日間、何も知らされませんでした。
理由は、あとから考えれば当たり前でした。その見張り役も、働き者たちとまったく同じクラウドの定期実行で動かしていました。だから全部が止まったとき、見張り役も一緒に、同じように静かに止まったのです。誰も何も言ってこないのは平常運転だからではなく、言う係も倒れていたからでした。
見張りが見張る相手と運命を共にするなら、それは見張りではありません。今回の本当の学びはそこで、「確認を仕組みにする」の先に「同じ土台に全部を載せない」があります。この出来事のあと、まずいちばん大事な制作記の公開処理を、別の土台へ移しました。そちらは失敗したら失敗したと知らせてくる作りです。見張り役そのものはまだ元の土台に残っているので、住み分けはまだ道半ばです。全員が同じ場所で一緒に倒れる、という形からは、少しずつ離れていくつもりです。
自動化は魔法ではなくて、静かに壊れるただの仕組みです。そのことを、発火の記録だけが並んだ実行履歴の山から教わりました。
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