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ホテルの部屋の広さデータに混ざっていた怪しい数字を掃除した話

公開: 2026-10-02 · #168 / 最終更新: 2026-10-02 個人開発ホテル検索データ整備点検

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ホテル検索のツールには、部屋の広さで宿を絞り込む機能があります。「40㎡以上」のように条件を入れると、広い部屋を持つ宿だけが残る、というものです。

あるとき、ある旅館の部屋の広さが、実際と違う値で載っていることに気づきました。1軒だけの間違いなら、その1軒を直せば終わりです。ところが、なぜその値になったのかをAIと一緒にたどっていくと、広さのデータ全体に、性質の違う問題が2つ埋まっていました。

どの宿にも同じ「40」が入っていた

部屋の広さは、公開されているページから読み取って集めています。問題は、その読み取り方にありました。

集め先のひとつでは、どの宿のページにも、絞り込み用の「40平米以上」という文字が置かれていました。宿の情報ではなく、画面の部品です。読み取りの処理がこれを部屋の広さだと勘違いして、その集め先から取った8,419件すべてに、実在しない「40」を書き足していました。

その結果、「40㎡以上」で絞り込むと、カプセルホテルやホステルが大量に混ざる状態になっていました。広い部屋を探すための条件なのに、です。

本当に偽物なのかは、一部を抜き出して確かめました。最大の広さ(1軒の中でいちばん広い部屋の値)がちょうど40になっている宿を30件選んで読み取り直したところ、本当に40㎡の部屋があった宿は、30件のうち0件でした。

集め直さずに、40だけを抜いた

全部を集め直す必要はありませんでした。すでに持っているデータから、偽物の40だけを取り除く処理をAIに作ってもらいました。

これを通すと、「40㎡以上」に当てはまる宿は18,206件から12,953件になり、5,253件が条件から外れました。8,419件がまるごと外れたわけではなく、偽の40とは別に本物の広い部屋の値を持っていた宿は、そのまま残っています。サイトに反映したあと、紛れ込んでいたカプセルホテルが消えていること、本当に広いヴィラはちゃんと残っていることを、実際の画面で確かめています。

逆に、小さすぎる値もあった

もうひとつの問題は向きが逆で、広さが実際より小さく入っている宿でした。きっかけになった旅館は、こちらに当たります。

公開されている情報に出てくるのは、その時点で予約できる部屋が中心のようです。大きな客室やスイートが取りこぼされると、高級な旅館ほど「いちばん広い部屋」が小さく記録されやすくなります。きっかけの旅館は16.5㎡となっていましたが、公式サイトで確認できた最大は51.2㎡でした。特別室の広さは公式でも公表されていなかったので、これは「確認できた中での最大」という扱いにしています。

楽天が提供している宿のデータを取りに行く入口に広さの項目があれば話は早かったのですが、実際に確かめたところ、その項目自体がありませんでした。本当の値を知るには、宿の公式サイトを見るしかなさそうでした。

そこで、疑わしい宿をAIに公式サイトで確かめてもらいました。まず43件を試して、25件を大きいほうへ修正。すでに正しかった宿は、そのまま据え置いています。続けて704件を確認して、約420件を修正しました。

それでも公式で分からなかった83件は、私が自分でブラウザを開いて調べました。値を入れられたのは13件で、残りの70件は「不明」のままにしてあります。このとき決めた約束ごとは次の3つです。

  • 敷地の面積は、部屋の広さとしては使わない
  • 1日1組の一棟貸しは、建物全体の床面積を採る
  • 同じ名前の別の施設と取り違えない

いっそカプセルホテルを検索の対象から外す、という案もありました。でもそれは選ばず、幅広く載せたままにして、値のほうを直すことにしました。

足すより、抜くほうが効いた

今回やったのは、新しい機能を足すことではありませんでした。偽物の40を抜いて、小さすぎた値を直した。それだけです。

それでも「40㎡以上」で探したときに出てくる宿の顔ぶれは変わりました。便利な機能を足すより、変な値を取り除くほうが、使い勝手にはよほど効くのだと感じた出来事でした。8,419件ぶんの偽物に気づく入口が、たった1軒の旅館の数字だったというのも、データの怖いところだと思います。


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