制作記の文体について考えていること
📌 記事の取り扱いについて(公開当時の内容を含みます — タップで詳細)
本記事は公開当時の体験・気づきをまとめたものです。現在のツール数・プラン数・対象年齢・記事数・仕様とは異なる場合があります。最新の内容は各ツールページをご確認ください。ツールや外部サービスの仕様・料金は変更されることがあるため、利用前には各公式情報も併せてご確認ください。記載に誤りを見つけられた場合はお問い合わせフォームよりご連絡いただけると助かります。
制作記を書き続けていると、気を抜くと全部の記事が同じトーンに揃ってしまう、という問題に気付きました。導入が同じ、結論の置き方が同じ、一文の長さもだいたい同じ。読み返すと、味の薄い同じ料理を続けて食べているような感覚になります。
結論を先に書くと、対策として効いているのは四つでした。「結論を出す位置を変える」「自分の感情語を意識的に入れる」「数字や固有名詞で具体性を補う」「締めの文型を変える」。これだけで、文章の体温がだいぶ変わります。
文体は趣味の世界なので、正解があるわけではありません。ただ、読み手に毎回同じ印象を与えてしまうのは、書き手の側でも単調に感じてくる、というのが正直なところです。
同じ型に陥る原因
なぜ同じ型に揃いやすいのか、自分なりに考えました。
ひとつには、書きやすい順序が決まっているからです。「結論→背景→例→振り返り」という流れは、書く側が迷わず、読む側にも親切です。便利な型なので、つい毎回同じ並びにしてしまいます。
もうひとつは、専門外の話題を書くときほど、無難な表現に逃げがちなことです。断定を避けたい場面で「〜と思います」「〜のようです」を多用していると、語尾だけで全体の印象が「無難で淡い」方向に寄ります。
結論を出す位置をずらす
対策のひとつめは、結論を出す位置を意図的にずらすことです。
毎回「最初の3段落で結論」を律儀にやっていると、読者は冒頭を読んだ時点で満足してしまい、本文に入りにくいことがあるのかもしれません。あとから自分の記事を読み返していると、序盤に結論を詰め込みすぎて、その先を読み進める理由が薄くなっているものもありました。
そこで、記事によっては冒頭は問いや状況描写から始めて、結論をやや後ろに置くことを試しています。長く読んでもらうための小さな工夫ですが、書き手としても新鮮で、書きながら飽きにくくなりました。
ただし、検索から来た人に答えを早く見つけてもらいたい記事では、私は結論を先に出すようにしています。制作記は「読み物」寄りなので、結論の位置に多少の自由度を持たせています。
感情語は、一段落にひとつまで
ふたつめは、感情を表す語を入れすぎない範囲で使う、というルールです。
「嬉しい」「面倒だった」「拍子抜けした」「ちょっと怖い」――こうした言葉は、入れすぎると軽くなり、入れなさすぎると無機質になります。目安として1段落に最大1個くらいにしておくと、書き手が「いまここで自分は何を感じたか」を、ところどころで考えるきっかけになります。
これが文体のリズムを変える効果も持っていました。感情語が入る段落は、その前後の説明中心の段落と長さが変わりやすく、自然と単調な並びから外れてくれます。
数字と固有名詞で具体性を補う
みっつめは、出して問題ない範囲で、数字や固有名詞を入れることです。
記録で期間を確認できたなら、「しばらく動かなかった」と書くより、「3週間ほど触れずに置いていた」と書く方が、読み手に景色が伝わります。固有名詞も同じで、「あるサービス」より「サイトを置いている Cloudflare の管理画面」と書いた方が、状況が立体的になります。ただし、個人情報や職場・取引先につながる名前は出さないようにしています。
ただし、ここには注意点があります。期間や数字を曖昧な印象だけで書くと、後から事実と合わなくなることがあります。これは書きながらたびたび直面していて、書き終わったらできる範囲で自分の記録(git の作業履歴やメモ)と突き合わせて、ずれていたら「短い期間」「数週間」など曖昧な表現に置き換えるようにしています。
締めの文を毎回変える
最後にやっているのが、結びの文型を意図的に変えることです。
「いかがでしたか」「ぜひ試してみてください」のような定型は使わない、と決めています。代わりに、その記事ならではの一行で締めるようにしました。問いかけのまま閉じる回もあれば、自嘲気味の独り言で閉じる回もあり、未来の予定で閉じる回もあります。
結びは印象に残りやすい場所なので、ここを毎回同じにすると、記事全体が同じ味に染まりやすくなります。
書いていて気づいた副産物
文体の単調さを意識し始めてから、書く前に「今回はどこを面白がる記事か」を一行で決める癖がつきました。技術の話なのか、失敗談なのか、判断の話なのか。芯がひとつ決まると、自然と語彙も語順も変わります。
完璧に毎回違う文体で書ける、というのは目標としていません。ただ、読み手が「またこのパターンか」と感じる前に変化が見えるくらいには、自分の中で揺らぎを許容するようにしています。
← 他の制作記を見る | トップ | お問い合わせ